1.19.2013

読書の冬。

このブログを放置気味だが書くべきことがなくなったわけではない。ただ最近の関心事が、あまりに抽象的な問題というか、こころの奥深くの問題であることがおおく、あえて文字に起こすというのも億劫なのである。

最近就活のセミナーがあったのだが、あまりに軽薄で辟易とした。「尊敬できる先輩に話を聞こう」とか言われて、なんだかなあと失望を感じた。
確かにリアルな会話や付き合いの中で得られることはとても多いだろうが、しかし「身近な人間」の中に尊敬すべき人ってのはあまりいないものだ。

それなら本でも読んで、100年に一度の天才の思考に触れた方がいいのではないか、と思わずにいられない。そのセミナーでは、人生の幅を広げるために、いろいろな人の話を聞こうということだった。なるほど就活というのは軽薄であり、浅薄であり、ちっぽけな生涯を満足させるための、俗物的な儀式なのだと、あらためて感じる次第である。

さてまた雑多な日記になってしまった。そんなこんなで最近は非常によく読書をしている。いよいよ学校も始まり、自由な時間がなくなってきたのだが、毎朝8時には学校に行き、21時まで残って読書することで、静かで有意義な時間を確保している。

読む本は大体がドイツの思想である。ニーチェ、ショーペンハウエル、エーリッヒフロムがメイン。ゲーテなんかも読もうと思っている。あとはサルトルがお気に入り。日本の本は、岡本太郎の本を好んで読む。

しかし、フロムを読んでいるときは生を肯定的に捉えて、さて他人を愛するぞ、尊敬するぞ、人生を豊かにするぞと意気込んでいたのが、ショーペンハウエルの厭世的思想にどん底にたたき落とされるような気持ちになる。しかもショーペンハウエルの方が真理に近そうなのでたちが悪い。

過去の天才・賢人の数は限られるが、それでも答えはひとつではない。僕らのような凡人は彼らのどれを信じたらいいのだろうか。悩ましい問題である。

1.05.2013

ショーペンハウエル先生、本の書き方を教えて!

ショーペンハウエルの「読書について」という本がなかなかおもしろい。

ショーペンハウエルは厭世主義者として有名でニーチェなんかに多大な影響を与えたドイツの哲学者。本書は単に正しい読書を啓蒙するのみならず、本の書き方まで言及してあり、ぼくのような「将来モノ書きになりたい」と考えている作家の卵的存在にはとてもありがたい内容だったのだ。

正しい読書とは

とりあえずショーペンハウエルの考える、正しい読書のしかたについて。かれは読書とは基本的に、自分の代わりにだれかに考えてもらうこと、としている。この書き方からわかるとおり、ショーペンハウエルは読書というものをけっこう否定的にとらえているようだ。
本を読む人には二種類あって、天才的な思想家と、自分でものを考えられない虫類にわかれる。虫類は、本を読んでもあたまの中が余計にごちゃごちゃ乱雑になるばかりである。一方思想家も本を読むが、かれは思考のために本を読むのであって、もとからある思想体系に知識をあらたに衝突させ、より強固にするニュアンスで読む。
この思想家は読書する人間のほとんどわずかしない。だからショーペンハウエルは多読家を批判しているのが、とても印象的だ。

本の書き方

ショーペンハウエルは当時の書籍のほとんどすべてがゴミクズだとして、痛烈に批判している。かれは本の正しい書き方を指南していて、それがとても参考になった。

いわく、本を書くときは、優しい言葉で書かなければならない。簡単な内容を難しく書くな、難しい内容を簡単に書くことができてこそ天才だ、と。このことは今でもよく言われてることだけど、かれはこれでヘーゲルを痛烈に批判しているのだからおもしろい。
また、文才なんて気にする必要はないとかれは考える。それより書きたい内容がまずあって、伝えることがはっきりしていることが重要だ。問題は内容が空疎なのに金のために出された本で、こういう人間の著作をありがたがって買うのも悪いのだが、そういう本で溢れかえっていると。
金や名誉のために本は書いちゃいけませんとまあ当たり前のことだね。

ショーペンハウエルはとっても興味深いことを言っている。歴史に残る名著は、筆者がまったく無名で著作で収入を得ていないか、得ていてもわずかなときに生まれていると。

これ、僕にもぴったりの言葉じゃん。俺も良い本を書くぞーとやる気を新たにしたのでした。でも、ショーペンハウエルはまた、天才はペンに頼らない、とも書いている。ペンは歩行における杖のようなもので、思想を練りあげた天才は、書くことすら必要としない。しかし老いてきて初めてペンに頼る。
偉大な人物が、死の間際に書物を書くのに似ているなーと思った。岡本太郎とか晩年になって本を出したり、テレビに出まくってたもんね。
あ、ちなみに明日は岡本太郎美術館に行きます。楽しみ!