7.20.2014

音に敏感な人は騒音をいかに対策すべきか

 神経質な人間にとって、この日本の特に都会で暮らすということは非常にストレスフルである。

 日本人は細かいことに気がつくと評判だが、騒音に限ってはそうではない。電車の中のアナウンスは「忘れ物のないように気をつけてください」「ドア付近に立たないでください」などバカにしたご忠言を大音量で流す。
 店舗の呼び込みが際限なく道を雑音で汚すし、職場ではなぜかおしゃべりに寛容で、「静かにしてもらえませんか」というと狂人みたいに思われる。うさぎ小屋のようなアパートは壁が薄く、近所トラブルのもとである。

 かつてピアノ騒音殺人事件なんてものがあった。団地で子どもにピアノを弾かせる家族を、神経質な男が一家惨殺したという凄惨な事件である。

 殺人犯に共感する必要はないが、ぼくら神経質な人間は「音の暴力」に耐えず晒されているのが現状である。音に鈍感なひとの方が多数なのでぼくらは常に無理解に悩まされる。しかし 「音に悩む自分はおかしいのではないか」と悩む必要はない。音に敏感なのはあなたの生まれ持った性質であって、良い、悪いではない。


 ぼくのアパート付近は住宅街であり、日夜いろんな騒音が起きている。これまで騒音対策に関しては徹底的に研究した。一家惨殺する前に、スマートに騒音対策をしよう。……というのがこの記事である。

case 1: 隣家のDIYの音がうるさい

 ぼくのアパートの東の家は隠居老人の一軒家だが、かれは元大工の棟梁である。そのせいか何かを作らずにはいられないようで、しかも老人のことだから毎朝早く、トカトントンとトンカチを打ちならす。あるいは何かをガシャンと投げつける音。ひどいときはグラインダーのギュイイイイという大音量がする。
 八時ぐらいであればああ今日もお陰で早起きできました、となるのだが何日も朝五時に叩き起こされたときはその非常識さに憤慨した。まあ憤慨すると言っても一一〇番通報する程度なのだが。彼の言い分では「多少迷惑がかかってもお互い様」なのだという。朝五時に住宅街のど真ん中でグラインダーを打ち鳴らしてもお互い様か、とバカげた気持ちになる。

 ちなみに市役所にも連絡したが意味がなかった。民事なので弁護士に相談してくださいと。しょうがないので警察に連絡した。人間の騒音に関してはこれが限界のようだ。

 警察は一一〇番通報すれば事件に対し必ず対応しなければならないので(記録書を作らなければならない)、何かしらの対応をしてくれるだろう。「そんなことで一一〇番なんて」と思うかもしれないが、ぼくの場合はけっこう親身に対応してくれた。

 「隣家が何か大工仕事をしているようでうるさくて眠れない」と訴え、「おじいさんの生きがいだろうし、別に大工仕事をするなというわけではないが、常識的な時間にしてもらうよう注意してもらえますか」と付け加えた。ちなみに緊急性がなく即時に対応してもらわなくてもよいときは、#9110をコールすると警察と相談できる。

 一度警察を呼ぶだけでは騒音は収まらなかったが、何度か通報すると老人も大人しくなったので、いちおうの解決である。警察のひとにはしょうもない仕事を作って申し訳ない。ありがたいことです。

case 2: 隣家の犬がうるさい

 アパートの向かいの一軒家には中年夫婦が住んでいるのだが、そこでは犬を飼っている。白黒ぶちの中型犬である。しかしこの中型犬、住宅街のど真ん中の狭いところに押し込まれているものだから、ストレスに病んで一日中吠えていた。
 しかもこの犬はぼくの家の窓から数メートルのところに位置しており、野太い声を直近に聞かせてくれるのだから参る。夏場でもほとんど窓は開けられなかった。

 犬の吠える発作が始まると、ときどき飼い主も叱るようだ。
 「ルンちゃん静かにしなきゃダメよー」
 と窓越しに言っているのが聞こえてくる。そんなことで収まると思っているのだから、すばらしい飼い主である。これは夢の中でのことだが、ぼくはタマネギをその家の庭に放り込んで死んでくれることを願った。

 夜十一時まで吠え続ける時期があったので、我慢の限界だとおもい保健所に連絡した。隣の家の犬が一日中吠えていてうるさい、眠れなくて迷惑していると言った。「ぼくも犬を飼ったことがあるのでわかるが明らかにしつけがなってない。それを改善してほしいのと、犬の位置をアパートから遠ざけて欲しい。ぼくの部屋から5メートルも離れていない」といった。

 怨恨が怖いので匿名でと保健所にお願いしたのだが詫び状が届いた。「うちの犬が迷惑をかけてすみません。謝罪したいのでおこしいただけますか」というものだった。なんだか行ってしまうと「お互い様」ということで片付けられそうなので行くことはなかった。

 今でもときどき吠えるが、犬の位置が離れたお陰かそれほどひどくない。夢でタマネギを投げるぼくもぼくだが、こんな住宅街の中で犬を飼おうというのはそれもひとつの狂気だと思う。

case 3: アパートの上階がうるさい

 アパートの上階がうるさいときは、こちらもノイズ(後述)を鳴らすことで対応している。いろんなことでうるさいけれども、大体掃除の音だったりテレビの音だったりする。相手がうるさければ、こちらもうるさくする権利がある。それこそ「お互い様」である。

 ちなみに騒音がとくにひどい場合は大家あるいは不動産屋に連絡しよう。おおむね二十二時以降から朝八時までの騒音については善処してくれる。不動産屋が無理解であれば、仕方がないので警察にということになる。

 いくら恨みが募っても直接の話し合いに持ち込んではいけない。だいたい騒音というものは、出している側に悪意や自覚がないことが多い。感情的になってトラブルになることは必定である。冷静な第三者を媒介させることが重要である。


case 4: 職場の人間がうるさい

 職場のおしゃべり人間がうるさくて生産性を下げられるというもの。神経質な人間にとっては仕事に没頭できる環境は限局されていて、「にぎやかで和気あいあいな職場」なんて総毛立つものであると思う。

 こうした場合は、うるさい人を正そうとすることは非常に難しいものである。いくら婉曲に「うるさいので静かにしてもらえますか」と言ったところでムッとされてしまうだろう。神経質なひとが音に敏感であることを直せないように、彼らもおしゃべり癖を直すことができないのだ。この場合、やはり自衛に頼るしかない(権謀術数に長けるひとであればうまく黙らせることもできるだろうが……)。

 うるさい人もずっとうるさいわけではなくて、ときどき発作的におしゃべりに興じることが多いというのがぼくの経験則である。だからこの特にうるさいときに限って、イヤホンでノイズを流すのが良い。上司に文句を言われたら、「集中できないので」と素直に言えばよい――とぼくは思っている。ぼくの場合、事実上黙認されているのだが。

 職場は仕事をするところであって、おしゃべりをするところではない。学校であれば厳粛に注意されるのに職場となると許容される雰囲気があるのは不思議なことである。

 イヤホンをつけることが可能な職場であれば良いのだが、電話対応などがあると難しいかもしれない。あるサイトで髪で隠して耳栓をしているという人があって関心した。女性であればそれが最適解だと思う。 


耳栓を考える

 
 


 サイレンシアに代表されるスポンジ型の耳栓(図左)は詰めるのが手間取る割にすぐ取れてしまう上、あまり防音性がないのでおすすめできない。耳には優しいと思うが。

 襞の何層かになっているシリコン性のもの(図右)は防音性にもっとも優れるが、洗浄しにくく不衛生だし、耳の奥深くまでいって粘膜を痛めやすい。しかしひどい騒音に対する最終兵器としてはいいかもしれない。水をつけて押し込むと格段に遮音性があがる。菌が繁殖するので頻繁にエタノールなどで消毒し、しっかりと風乾させること。

 寝るときにつけると柄の部分が当たって痛いのでこれを根元からハサミで切り取ると利便性があがる。ぼくはインド旅行をこれで乗り切った。

 今のところ攻守?のバランスが取れているのはカナル型イヤホンを耳栓代わりにつけるというものである。普通イヤホンには何種類かのイヤーパッドがついているので自分の耳にフィットしたものを選ぶことができる。
 コードが邪魔になるが、これは便利にもなる。例えば寝ているときにつけるのであればいざ騒音が来たときにコードを辿れば、「耳栓はどこへ行った」となることがない。

 ちなみに耳栓は粘膜に異物を詰め込むものなので炎症しやすいので注意した方がいい。夏休みなどは耳栓を二十四時間つけていて、外耳を化膿させたことがある。黄色い臭い膿が毎日とれた。病院へ行くと、ステロイドを処方された。治るにはけっこう時間がかかるし、耳は繊細な感覚器官だから耳栓のしすぎには注意した方がいい。

騒音キラー「ホワイトノイズ」

 騒音を平板化させるには「ホワイトノイズ(Simply Noise)」が便利である。これはテレビの砂嵐や、滝の落水するのと似た「ザー」というノイズである。スピーカーで鳴らせばノイズのイライラする音を相殺してくれる。一定の音量なので音楽を鳴らすのに比べて断然周囲の迷惑にはならない。

 ノイズ緩和だけではなくて不眠解消やストレス解消の癒やし効果があると言われている。試験の成績があがるという報告もある(これは眉唾)。
 壁伝いの騒音はだいたい低音なので、そのサイトの茶色のボタン(より低音領域をカバーする)を押すと良いだろう。

 ホワイトノイズに加えて耳栓をすればほとんどの騒音は気にならなくなるはずだ。ちなみにSimply Noiseは有料だがiPhoneのアプリもある。
 これに気づいたときぼくは自分で画期的な発明だと思った。耳栓だけでは、実はほとんどの音は響いてくるのである。

やってはいけないこと

  • 隣室の騒音に対し壁を殴ること ⇒穴が空いて惨めな気持ちになります。
  • ノイズではなく音楽を鳴らすこと ⇒迷惑です。
  • 騒音元に直接被害を訴えること ⇒話が平行線で埒があきません。
  • 気の持ちようだから、気にしないよう努めること ⇒無理です。ちゃんと対策しましょう




似たような記事を書いた⇒ 日本の騒音は世界一ひどい

4 件のコメント:

  1. 五感は危機を察知できる重要な機関なので
    この場合、気になる側が神経質なのではなく
    そうでない人々が鈍感だと捉えるとしっくりきます

    また、そうでない人々がそうした五感に頼る必要がない
    くらい「勘」などが鋭いかと言うと、そうでもない場合が
    ほとんどだなと、自分の経験では思います。

    あと
    ご自分のことを神経質と評価していますが、
    これは、正直なものではなくて、
    世間の風潮や人種分布を横目で見つつの
    バランス評価なのかなと、勝手に思ってます。
    (神経質という言葉には、純粋な分類以上の
    ネガティブなイメージがあると思っています)

    あとあと、職場のおしゃべりですが、あるいは物音ですが
    自分の場合、音、音声、音量ではなく、
    無駄な話をしているということがとてもつらいですね。

    指示や真剣な議論やまじめな作業の騒音は、いつしか
    意識をしなくなっています。

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  2. コメントありがとうございます。

    ぼくは神経質ですよ。それはもちろん相対的な意味ですけど。

    騒音があるとしても、多くの人がそのような環境でやっていけるということは(そうでなければ普通改善されてますから)、過敏な個人が「神経質」だと評価することは間違いではないでしょう。まあネガティブなイメージがあることは確かですけどね。音に鈍感な人は「偏執質」と分類できるのですが、なぜかこちらの言葉は一般的ではないです。

    たしかに、真剣な議論などのノイズは気にならず、むしろ心地がいいものですね。案外、完全な無音であるよりは落ち着いた喫茶店の方が勉強が捗ることもあって、難しいものだと感じます。

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  3. 引越し先のマンションの隣にカラオケスナックがあり、0時を過ぎても大音量のカラオケで
    仕事や読書もできず、かといって寝るに寝られず本当に困っています。
    警察に電話して注意してもらいましたが、営業者は「商業地域だし許可も取ってる。何が
    悪い?」と居直っているそうで、おまわりさんも「僕、法律のことはよくわかりません」と
    埒があきません。
    11時以降のカラオケを止めてもらいたいだけなのですが、実際は0時過ぎても歌っています。
    行政に訴え続けるのは大前提ですが、自衛手段としてホワイトノイズのサイトを知ることが
    できて本当によかったです。ありがとうございました。

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  4. 日本人は繊細みたいなイメージがありますが
    個人的に音や風景に関してはむしろ鈍感なのではないかと感じています
    防災無線などは本来の目的以外で乱用されていますし(本来の目的に関してもかなり聞こえにくくて意味がないと思いますが)街を歩けば店からの宣伝の声やBGMや公共の注意喚起系のアナウンスなどが溢れています
    百歩譲って体調がいい時ならまだ我慢できるのですが、そうでない時は結構しんどいです
    特にきつかったのは突発性の低音性難聴?になった時ですね・・・
    思うに日本人というのは責任を回避したい性質が強めな気がします
    こっちは注意はしたからね!という言い訳をする為のアナウンスが多いのです
    何より驚くのは多くの人がこういった事に何の疑問も感じていない事です
    この記事の本題ではない部分でコメントしてしまいましたが、普段はなかなか言えない事なので書いてしまいました

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